雲海見れるまでやめれま10? ~オーバーナイトハイキング~

ボーイ
ボーイ

まずはご報告から。10月プログラムは班キャンプでしたので、ここでのレポートを省略しています。

さて、11月のプログラムは毎年恒例のオーバーナイトハイキング。その名の通り、一晩じゅう歩きとおします。

ただ、歩いてしんどいだけでは楽しくないため、最終目的地を雲海などの絶景が見える(可能性のある)場所としています。

今年は2年ぶりの兵庫県中部の黒井城址としました。桜井駅集合は18:40と少し早めです。

 

 

コースは上記のとおりで、一昨年はJR福知山線黒井駅の一つ向こうの市島駅から出発し、地図上で「く」の字を描くようなコースでしたが、今回は一つ手前の石生(いそう)駅にて電車を降り、「へ」の字で尾根道を進んで黒井城址に向かいます。

石生駅を下車後、平坦な田園地帯を3キロ近く歩いてから、いよいよ山に入ります。(地図での登山口)

 

山に入るといきなりきつめの登りです。

 

このコースは全般的に低山なのですが、アップダウンはけっこう小まめにあります。山に入っていきなりあいさつ代わりの急坂がしばらく続き、尾根に着いたところで最初の休憩を取りました。

 

最初の休憩。いきなりくたびれたスカウトも。

 

この最初のカウンターパンチが効いたのか、いきなり多くのスカウトが「あとどのくらいあるの?」「何分の1歩いた?」と言ってくる始末。

ただ、本当のことを言うと皆気絶してしまうので(笑)、夜明けまで歩くよと(これは本当ですが)適当にごまかしました。

いずれにせよ、ハイキングが本格的に始まるのはこれからです。

 

登りがあったかと思うといきなり急な下りが・・・(霧山横付近)

 

霧山のあたりの尾根道からは、「分水嶺の径」との表示が頻繁に出てきます。

実は、石生駅付近は本州で一番標高の低い、太平洋側と日本海側を隔てる分水嶺(谷中分水界)で、この道はここに連なる分水嶺の尾根になります。すなわち、歩いている道より左側に落ちた水は加古川を経て瀬戸内海に、右側に落ちた水は由良川を経て日本海にそそぐという、雄大なロマンを感じながら道を歩けるのです・・・がそのような余裕はスカウトにはありません。

いくつかアップダウンをこなすうちに、かなりの急坂を下ります。実はこういう急坂下りが意外に一番時間を要します。

急坂を下った先は天王坂という、東西の集落を結ぶ、クルマも通れる道の峠になっています。ここで各自が持参したスカウト弁当による夜食タイムとしました。

 

スカウト弁当を食べながらほっとするひととき。

 

ただ、あまり休憩を長く取りすぎると黒井城址での夜明けに間に合いません。また天気予報に反して意外に風が吹いており、体も冷えてきてしまいます。そこで深夜0時45分に歩行再開です。

しかし天王坂から亀の座への登りは結構キツく、しかも時刻も24時を回ったこともあって、皆疲れてきました。ただ、「24時を過ぎて起きているのは初めて」とハイテンションなスカウトや、なぜかずっと2人でしゃべり続けるスカウトなど、歩いているときは皆元気なのは、特に山に入って最初の急坂直後のことがあっただけに意外でした。

 

さすがに休憩時はグダっとなります。それでも全く構いません。メリハリが大切なのです。(亀の座手前にて)

 

左にも右にも盆地の夜景を見ながら、尾根道の坂を登り続けます。意外に風が吹いており、雲海が出ないかもしれないとの恐れをいだきながら、亀の座に到着しました。

 

亀の座に到着。下界の黒井集落の夜景が見えています。

 

そして亀の座からはまた下り・・・スカウトたちは下ってもすぐ登りがあることを知っており、ロープで高さを保ったまま向こうに渡りたいと懇願していました。

 

由良坂に降りてきました。(標の表記は油良坂)

 

由良坂からまたまた登ったあたりからは、左側の夜景は見えなくなり、いよいよ今回のコースの中で一番標高の高くなる区間にさしかかります。

 

今回のコースの中で一番標高の高い、三日月山の下での休憩。さすがに仮眠をとるスカウトも。

 

深夜3時を過ぎると、疲れて遅れがちだったスカウトもなぜか元気が復活して、事実上の長いラストスパートに入りました。

後で分かったことなのですが、この日(の朝から)は一帯を走るトレイルランニングの大会があり、そのために道が分かりやすく、また一部の急坂にはロープが張ってあり、我々には大変助かりました。筆者は急坂を下るための重いザイルを背負っていたのですが、徒労に終わりました。

 

大野峠まで来ました。黒井城までもうすぐだ!

 

千丈寺山は別称千丈寺砦といい、このあたりからは尾根道を歩いていても、明らかに人工的に平らにならされた場所が増えてきます。ただスカウトは地形を観察したり、戦国時代の様子など空想する余裕はなく、ひたすら先に進みます。

 

あたりも明るくなりはじめ、半ベソをかきながら急坂をよじ登るスカウト。あと少しだ!

 

兵主峠を過ぎたあたりからは、空が白み始めました。皆の歩みが一層早くなります。ただ、あまりに辛くて半ベソ、というより泣きながら急な崖をよじ登る新人スカウトもいました。

 

さあ、黒井城址はこの坂を登った先、ラストスパートだ!

 

最後の辛い登りを登り切ったところで視界がパッと開けます。ここが中世末期の山城である黒井城の本丸跡です。

 

着いた! くたびれて倒れ込むスカウトも。皆良く歩いた!

 

ゴールがしょうもなかったら怒るで!といっていたスカウトも思わず見とれる絶景。

そして、夜明けにも間に合いました・・・が雲海は出てきていません。非常に残念ですがその代わり、皆を喜ばせるものがありました。それは先回りした年配リーダーが、山頂で作ってくれていた豚汁のふるまいです!

 

山頂にて温かい豚汁!

 

特に山頂の城址は風が吹きっさらしで、じっとしていると寒くなります。皆温かい豚汁に食らいつきます。「いままで食べた豚汁のなかで一番美味い!」と何度もつぶやくスカウトも。

 

 

 

そうこうしているうちに、東の空が赤くなってきました。

 

皆が豚汁を味わううちに夜明けが近くなってきた!

 

一般の方で麓の黒井からここに登ってきた人も加わり、城址の東側に自然に人が集まります。そして、雲の上からでしたが、日の出を拝むことができました。

 

日の出です。正月の初日の出以外で見ることは少ないかもしれません。

 

結局雲海を拝むことはできませんでしたが、改めて記念写真を撮りました。

 

碑のあるところでパチリ。下界の景色が素晴らしいです。ちなみに背後の山々を歩いてきました。

 

城址を充分に堪能したので、いよいよ下りにかかります。

 

 

が、せっかくなので歩き始めてすぐの、城址がよくわかる二の丸跡でも写真を撮りました。

 

本丸跡から二の丸跡を望む。いちおう、戦国ポーズ。

 

全く余談ながら、雲海が出ると二の丸跡はこのようになります。

 

(筆者が2015年1月に撮影)

 

ただ、雲海は出なかった代わりに下界の眺望がすばらしく、駅に向かって下り始める三の丸跡付近も絶景でした。

 

二の丸跡から三の丸跡を見下ろす。

 

黒井駅に降り、1時間に1本の電車を捕まえて箕面に帰りました。帰りの電車で皆爆睡だったことは言うまでもありません。

今回、大変きついコースに感じましたが、実は距離的には13kmしかありませんでした。ただ、アップダウンの累積はともに1000m近く。かなりのキツさだったことが分かります。

 

 

ですので、今回参加したスカウトは体力の限界まで良く頑張ったとともに、貴重な体験をしたと思います。

ただ、前回黒井城址に来た時と同様、今回も雲海は見れませんでした。雲海を見れるまでこの企画は「やめれま10」かもしれません・・・